中華麺の作り方:加水って何?番手って何?に答えます! - 麺屋こころのフランチャイズ

中華麺の作り方:加水って何?番手って何?に答えます!
2020.2.26

中華麺の作り方について、なんとなく理解している人は割と多いと思います。
小麦粉と水を混ぜ合わせて、生地を伸ばして、切って…蕎麦打ちと同じ感じですよね。
この手順をもっと細かくしてみると、中華麺ならではの特徴が見えてきます!
実は小麦と水以外の材料が必須であること、よく聞く「番手」について、そして加水率について。
聞いたことはあるけどよくわからない!そんな中華麺の作り方についてを今回はお話ししたいと思います。
ラーメン業界に特化した製麺所だからこそのリアルな内容と見解をお届けしますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ!
ラーメンに欠かせない中華麺の作り方についてご紹介します。


1麺の形状と切刃・番手の関係とは?


一般的に麺は太いものから細いものまで作ることができます。
麺を切る際に使用する刃を『切刃』と言いますが、この切刃は『番手』という麺の幅を示す単位によって番号が付けられているんですね。
番手の数字が大きい方が麺は細く、数字が小さくなるほど麺は太くなります。

太い麺は基本的につけ麺に多く使い、番手では9番(3.33mm)・10番(3mm)・11番(2.7mm)・12番(2.5mm)が主流になっています。
細い麺は博多麺に多く使われ、番手では28番(1.1mm)・26番(1.15mm)・24番(1.25mm)という形になります。
太いのと細いのとの間には中間もあり、18番(1.7mm)・17番(1.8mm)・16番(1.875mm)となりますが、大抵の製麺所では番手の偶数で1個飛びの切刃を持っていることが多いと思います。
どういうことかと言いますと、下から30・28・26・24・22…という偶数1個飛びでも厳密には麺幅は3mmしか変わらないということです。
例えば26番(1.15mm)と25番(1.2mm)を持っていたとしてもあんまり違いがわからないので、偶数で揃えておけば十分と考える製麺所さんが多いんですね。

麺は太さ・細さだけじゃない!最終的には厚みも肝心

切刃も然りですが最終的には麺にとって厚みも大切なポイントになります。
切り出すときの麺帯の厚みを調整して、最後に切刃でカットしていくという流れなのですが、その厚みも数ミリ単位で調整しています。
厚みが厚い麺もあれば、厚みが薄い麺、よく言う平打ち麺というと呼ばれる麺用に調整をして、お客様に届けているんです。
厚みと切刃の調整で形状は正方形、長方形…なんとでもできるんです!
正方形にしたい場合は、例えば15番という切刃が2mmだとしたら厚みを2mmにしたら正方形になりますよね。
番手ごとに横幅が何mmと必ず決まっていますので、それに合わせて厚みを絞れば薄くなったり太くなったり自由自在です。

麺の太・細・厚みで味も食感も変わる?

麺の太さや厚みによって、食感はかなり変わります。
茹で時間によっても関わってきますが喉越しや舌触りもかなり変わりますので、それぞれのお店がこだわりをもっている部分です。
0.7mmくらい変われば全然変わってきますし、私たちが普段お話ししていても0.3mmくらい変わればもうそれだけで「薄くなったね」「細くなったね」と言われることもあります。
微妙な違いが分かる…日本人は本当に舌が肥えているんだなと感じる場面ですね。
日本には調味料の『さしすせそ』があるように外国の方に比べたら日本人の舌は敏感です。塩分の感じ方も外国の方と違うので、その分麺の感じ方も異なり、日本人は繊細な印象があります。

海外と日本ではウケる麺が違う?

まず海外と日本ではスープの温度がまったく違います。
飲食店に入ると日本では普通に冷たい水が出てきますが、アジア圏の飲食店に行くと常温の水が出てきたり、ぬるい水が出てきたりと文化の違いを感じることもありますよね。
麺についても日本では柔らかすぎると「伸びてるじゃん」って言われますが、海外に行くとちょっと伸び切った麺の方がウケがよかったりということも少なくありません。
最近は海外の方が日本で日本式のラーメンを食べていることもあり日本のラーメンに慣れてきているというイメージがありますが、数年前までは日本式のラーメンを食していない海外の方が多く「麺硬い」とか「もっと茹でて」という要望が多くありました。
細麺で日本人が『バリかた』なんて固茹でで食べる豚骨ラーメンでも、海外の方だとすごくブヨブヨの麺が美味しい!という感想だったりします。
文化によって本当にさまざまで、海外進出の際にはそういった食文化にも注意する必要もあるかもしれません。

2『かん水』なしで中華麺は語れず!


ラーメンに使用する中華麺には基本的にかん水が入っています。
なので中華麺の基本的な材料は小麦粉・水・かん水ということになります。
かん水は麺の食感をよくしたり、コシを強くしたりするために欠かせない添加物です。
かん水は炭酸ナトリウムと炭酸カリウムという2種類の成分が入ったものが多く使われているのが一般的です。
主に炭酸ナトリウムは麺のしなやかさやコシなどを生み出す成分で、炭酸カリウムは硬さをもたせるために使っています。
かん水の中でも梘粉(かんぷん)と言われる主な原料があり、この梘粉によって麺の状態が左右されるんです。
しなやかな麺を作りたいのに炭酸カリウム多めの梘粉を使うとカチコチの麺になってしまいます。
また博多麺を作りたいのに炭酸ナトリウムが多いと柔らかい麺になってしまうことがあるので、麺にとって梘粉やかん水というのは非常に大事なものなんですね。

かん水の原理は化学反応

かん水を使うことによる特徴として、小麦とかん水を混ぜることで化学反応が起こり少し麺が発色して黄色くなります。これは札幌味噌ラーメンの麺などで見られる色味とはまた異なって、皆さんが馴染みのある中華麺の色の素のような色です。
また札幌味噌ラーメンのようにあえて黄色っぽさを出したいときはクチナシ色素を追加するなどの方法がとられていて、味噌ラーメンでよく見る黄色い麺が完成するというわけです。
最近よく耳にするようになった炭酸ナトリウム100%の『モンゴルかん水』というのがあるのですが、しなやかな麺を作るのに使われることが多いです。
通常のかん水と異なる点は天然であること。
天然であるがゆえに、かん水独特のアルカリ臭が低減されるメリットがあるようです。

かん水を使わずに麺を作るとどうなるの?

一般的にはうどんになります!
うどんと同じ製法になるので、そこに塩を入れるなどして作ります。
塩を入れる理由は茹で時間を短縮させるためということ。水を入れることで茹で時間が短くなるんです。
うどんは水と小麦で作るため、単純に言うと生中華麺にはかん水が使われているのが特徴です。
実際のところ無かん水麺という麺もあるので、それを中華麺としてメニューに使われている店舗も中にはあります。
しかし基本的にラーメンの麺にはかん水が入っているのが一般的と捉えていただければと思います。

かん水の匂いは成分の比率が関係している

一概には言えませんが、日本人は香りに敏感な方が多いです。
かん水に独特の匂いを感じる方もいるので、麺の製造過程でかん水の扱いも少しずつ変わってきています。
粉の性質を考慮して準強力粉だったり強力粉だったり、中力粉など粉の選定をして使うことで硬さや柔らかさを出して、かん水濃度を極力抑えるのが最近の傾向です。
昔はかなりの量のかん水を入れてたと思いますが、現在は使用量が減っているところも増えたかもしれません。
逆にかん水の匂いがスープとマッチしていい香りがするという方もいらっしゃいますので、一つの麺でも人によってさまざまな反応がありますね。
ちなみにPB麺を作る際の比率に関してもかん水濃度を調整する方法で承っています。

梘粉(かんぷん)に合わせる水はどんな水がいい?

基本的にラーメンを作る水はすべて軟水が好ましいです。
麺はもちろん軟水ですし、タレ類・スープ類・煮干しを焚くときなど、すべて軟水が適しています。
海外は硬水が多いのですが、みなさん軟水を仕入れて対応しているほどなんです。
硬水を使用した場合、麺のつながりが悪くなってしまいます。
スープの場合は、例えば豚骨を軟水と硬水で同じ8時間炊いたとき、硬水はトロミがまったく出ないという結果になってしまうと思います。
出汁も同じくよく出ないことが多いので、水質の違いで味が変わってしまうことは珍しいことではないんです。
海外で苦戦されている方は、硬水を軟水に変えると改善しやすいと思います。
太陽食品ではもちろん軟水を使用していますが、先日北京で硬水しかない状況でラーメンを作った際に同じ時間をかけて下準備をしても全然トロミが出なかったり、旨味が出なかったりということがありました。硬水or軟水の違いで非常に仕上がりにも差が出ると痛感しています。

3中華麺の加水率って?


麺を作る際、小麦が100だとしたらその中に何%水を入れるか?というのが加水率です。
しかし製麺所によって加水率の表現方法が少し異なる場合があります。
例えば小麦100に対して水だけを対象にして加水何%と言うケースと、弊社でしたら液体物をすべて混ぜた状態で加水率と表現しているケースなど、何パターンかあるんですね。
なので加水率の表記に関しては製麺所に確認して判断されたほうがいいと思います。
太陽食品で言うところのすべて混ぜた加水率に照らし合わせると、当社の機械で出来る低加水麺は28%からの加水率になります。
加水率が高いものは大体40%くらいの商品が出来上がりますので、当社のロール麺機で対応できる加水率の範囲は28%~40%です。
加水が低い麺で代表的なのが豚骨ラーメン、そして加水が高いものはつけ麺の麺になります。モチッとした食感を望まれるお客様には多加水麺をご提案することが多いです。

太陽食品で取り扱っている低加水麺・多加水麺の代表的な麺

弊社の代表的な低加水麺ですと、博多とんこつ麺が主流になります。
博多麺の商品としては3種類ありますが、どれも番手は26番(1.15mm)加水率が低めの細麺なので、博多系豚骨ラーメンの麺としてよく使われている麺です。
高加水な麺では、つけ麺の麺やまぜそばの麺。それから塩ラーメンなどでモチッとした麺がいいという方には多加水麺をご提案させていただいております。
昔は味噌ラーメンの麺というと多加水麺が多く使われていましたが、今は型にはまった考え方にとらわれずご要望に合わせて加水率の調整をさせていただきます。

加水率の割合とかん水の割合は別もの?

例えば水に対してかん水は何%入れるかという割合として出しています。
そこに水に溶けるものとして粉末の粉を入れたり、エチルアルコールやPG(プロピレングリコール)を入れたりですね。
それらすべてが水分になるので、そのトータルで加水率何%という認識です。
言い方や表現は製麺所によってさまざまになりますので、すべて統一されているわけではありません。
同じものを作っても製麺所によっては加水率としての範囲が異なるため、25%となったり、28%という言い方になったりしているのでちょっと注意が必要です。
なので加水率については水分の総量なのか水の量なのかといった部分を具体的に製麺所に聞いてみるのをオススメします。
それからやはり実際に茹でて試食してみることですね!大切だと思います。
私たち太陽食品もサンプルをお出しして、スープに合うかどうかまで徹底してお手伝いしています。麺のことで迷ったらまずは製麺所に聞いてみるのはベストかなと思うので、まずはお気軽に問い合わせしてみてください。

これくらいが普通の加水率というものはある?

私個人の主観にはなるのですが、28%〜30%くらいが低加水、40%から38%くらいが多加水という感じです。
その間がすべて中加水という区分けではないのですが、それぞれ特徴がある麺になっています。
加水だけで選ばれる方や食感と加水で選ぶ方など皆さん考えがあってのことだとは思いますが、やはりスープに合わせてどうマッチするのかということは研究されるのがオススメです。
お客様の問い合わせでも「加水何%?」という内容を聞かれることもありますが、加水率はあくまでも一つの目安ととらえておくといいかなと思います。

加水はどうやって調整してるの?

基本的には加水何%という表現をしていますが、水が入りにくい粉などもありますので使用する粉によっても異なってきます。
例えば加水率35%の場合でも、水が入りやすい粉だとすごくモチっとした食感にもなりますし、水の入りが悪い小麦を使えば硬い麺になってしまうんです。
なので粉の特徴に合わせて水分量を変えています。
どの麺も一律で水とかん水と小麦を合わせれば出来上がる!というわけではなく、製麺にはそれなりの技術が必要なので日々確認しながら精進しています。

美味しい中華麺の法則!


中華麺を作るときの工程は、麺それぞれに違いがあっても基本的な流れは同じです。
ただ、切刃・番手にしても、かん水や加水率にしても、美味しい中華麺を作るための法則が実は隠れています!
これは知識と経験、そして技術があって美味しい麺・欲しい麺ができあがるので、加水率の数字や番手の番号だけにこだわらずに色々な麺を試してみてください。
太陽食品では日々美味しい麺を追求していますので、ご要望にお応えできる提案が可能です。麺についてのご相談はいつでも歓迎いたしますので、ぜひご連絡ください!